宝を積んでしのぐ

読むと勇気の出る本が、誰にも何冊かあると思う。
私のそれは、中沢新一氏の本だ。
研究の本たちに圧されて買ったまま読めずにいた一冊を開く。

芸術人類学

芸術人類学

まだ読み始めたところ。
でもやっぱりどきどきして、なんだか勇気が出る。
論理的・合理的にこの世界を把握する、左脳的・言葉の力。
流動的・情緒的なものとしてこの世を捉える、右脳的・感情の力。
そのどちらも私たちが持っている自然の力だ。
そのバイロジックで生きることを彼は「対称性人類学」と呼んだ。
彼の言葉をたどっていると、
私の中にも縄文よりつらなる流動的知性が流れているのを、確かに感じる。


好きな本は、毎年すこしずつ増える。
元気のないときは、そんな宝物を日常の中に積んで、日々をしのぐ。